帰還した宇宙飛行士が立てないのはなぜか

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。宇宙飛行士の方が無重力の宇宙から帰還した際、両脇を抱えられながら地上を歩く光景を目にしたことがあると思います。これこそが、抗重力筋が衰えてしまった状態です。宇宙飛行士の方々は、宇宙に行く前から最低1年以上かけて、かなりの筋トレを日課としています。そのように準備を行っていたとしても、特別なトレーニングをしない限り、長期間宇宙にいると立てなくなるということです。抗重力筋は重力が存在する環境でしか維持されず、また、発達することができないという性質を持った筋肉です。そのため抗重力筋は宇宙という無重力空間では速やかに退化してしまいます。実際、無重力空間から帰還した宇宙飛行士たちはすぐに、おしりを中心とした抗重力筋を回復させるエクササイズを開始するそうです。しかし、これは宇宙だけでなく、地球上でも起こる現象なのです。たしかに地球には重力がありますが、重力を使っておしりの筋肉を刺激しないと、抗重力筋は衰えてしまうのです。たとえば骨折などのケガでしばらくベッドに寝たきりになっていた場合、治ったときに立ち上がろうとしてもうまく立てないときがあります。これは宇宙空間にいたときと似たような現象が起きているからです。また、水中は浮力の影響で体重負荷が6分の1程度しかないため、水泳が好きで地上での運動をする習慣がない方も、おしりを中心とした抗重力筋が衰えやすくなります。そのほかにも長時間座ってお仕事をする方々、たとえばタクシーや長距離トラックの運転手、デスクワークが中心の方々も抗重力筋が弱くなりやすい傾向があります。そのため、こういった職業の方には、腰痛に悩む方が非常に多いのです。意外に思うかもしれませんが、自転車の選手なども抗重力筋が弱くなっている方が多いのです。「運動選手だから大丈夫」ということはなく、抗重力筋よりも推進筋をメインに使うスポーツでは、このようなことが起こるのです。このように、宇宙空間で起こっていることは特別なことではなく、私たちのいる環境や生活習慣も、抗重力筋が衰える要因になります。だからこそ、積極的におしりの筋肉、つまり抗重力筋をターゲットとしたエクササイズを行う必要があるのです。