体脂肪は、多すぎも少なすぎもよくない

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。病気の原因やダイエットの敵として、何かと嫌われる「体脂肪」。しかし、実はもともと人間の体にとって、なくてはならないものです。万が一飢餓状態になったときに耐えられるようエネルギーを蓄える、外側の衝撃から身を守る、ホルモンバランスの調整をする…。これらは体脂肪の大切な仕事なのです。そのため、体脂肪が少なすぎても健康的とはいえません。科学的に見ていくと、内臓脂肪を構成している脂肪細胞には大きく二つの働きがあります。一つはエネルギーを蓄える貯蔵庫としての役割、そしてもう一つが、「アディポサイトカイン」という生理活性物質を分泌する役割です。一般にはあまり耳慣れないこの物質は、体にさまざまな影響をもたらします。このアディポサイトカインにはコレステロールや腸内細菌のように、善玉と悪玉という二つの顔があります。善玉アディポサイトカインの一つ、「アディポネクチン」はとても有能で、インスリンの働きをよくしたり、血圧の上昇を抑えたり、血管の環境を整えたりと大活躍をしてくれます。内臓脂肪が程よい量だと、アディポネクチンのおかげで各機能が円滑に働き、体は快調に保たれるのです。ところが、内臓脂肪が増えすぎると、善玉の分泌量が減って悪玉が力を増し、状況は逆転します。インスリンの働きが低下して糖代謝がスムーズでなくなる、血圧が上がる、血管の環境が悪化し、動脈硬化の危険が忍び寄る…。だから内臓脂肪を増やしすぎてはまずいのです。しかも、内臓脂肪が油断ならないのは、正体を見せないまま潜伏し続けることです。「ちょっと太ったかな」という以外に自覚症状がないまま、10年、20年と過ぎてしまうため、気がついたときには病状がかなり進行していることも珍しくありません。