脳のネットワークは、壊れた領域をカバーする

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。脳は奇跡とも思えることを起こすことがあります。病気や事故で脳にダメージを受け、何年もの長い期間反応のない患者さんに、積極的に話しかけたり手足を動かしたりと、献身的に刺激を与え続けていたら、少しずつ反応が出てきて回復したというすばらしい事実もあります。刺激を与え続けることが脳にプラスに働いた、まさに「脳の可塑性」を表すものです。脳は一度損傷してしまった部分は、元にもどることはありません。ではなぜ、失われてしまった機能をとりもどすことができたのでしょうか。それは、脳には病気や事故などの障害、老化によって脳の神経細胞と神経細胞のネットワークに損傷が起きた場合、新しいネットワークを再編成して、そのネットワークを活性化させる働きがあるのです。例えば脳梗塞などによって脳に損傷が起きた場合、壊れてしまった領域は再生しないのですが、周りの領域が壊れた部分の働きをカバーしたり、脳の右半球でできなくなったことを左半球で代替えしたりして、失った能力を新たに獲得することがわかっています。子供に近ければ近いほど、その「可塑性」は高いといえますが、高齢者であっても脳に刺激を与え続けていると、それがプラスに働き効果をもたらす場合があります。プロ野球の名選手で読売巨人軍終身名誉監督の長嶋茂雄さんは、発作性心房細動にともなう脳梗塞で倒れました。医師には「寝たきりも覚悟しておいてください」といわれるほどの重症でした。それが皆さんもご存知のように、普通の人には耐えられないような厳しいリハビリテーションを重ね、見事に奇跡的な復活を遂げられたのです。すでに損傷して機能を失った脳ではなく、長嶋さんの超人的なリハビリテーションが他の脳の領域を活性化し、「新たなネットワーク」をつくり、見事に長嶋さんを復活させたといえるでしょう。「本人があきらめないと、脳もあきらめない!」・・・長嶋さんは、私たちに大切なことを教えてくれています。