「PTSD」は認知症のリスクを倍増させる

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。ストレスはその程度によって深刻な状況を生み出す場合があります。災害や犯罪の被害にあったり、また戦争やテロなどによって恐ろしい経験をしたり、近親者の死に直面したりすると、心に大きな傷ができてしまう事があります。この傷が、よく聞かれる言葉「トラウマ」です。このトラウマは、その後も、常に不安感や恐怖感、フラッシュバックと呼ばれる恐ろしいシーンがよみがえる現象などを引き起こします。それによって生活や仕事に影響がでてしまうような症状を「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」といいます。大地震、ハリケーンなど自然災害、地下鉄サリン事件や9.11など歴史的な大きな事件、また戦争などによって、PTSDを発症している例が数多くあります。このようにトラウマをつくりPTSDを引き起こす強いストレスは、海馬の委縮を促進させるだけでなく、「情動」をつかさどる「帯状回」という領域も萎縮させることが明らかになっています。実際、湾岸戦争の帰還兵は海馬が、地下鉄サリン事件の被害者の方は帯状回が萎縮しているという報告があります。また、四川大地震、ハリケーン「カトリーナ」をはじめとする災害やテロ事件などで、PTSDになった方の脳もまた、これらが委縮したという報告があります。東日本大震災もまた、たくさんの人々の心を傷つけ、トラウマを残しました。そして、いまもなお津波の夢を何回も見たり、小さな地震でも揺れを感じると、大地震での恐ろしい光景がフラッシュバックしたりと、PTSD症状による苦しみは続いています。とくに、宮城県、岩手県、福島県の沿岸地域の方は、実際に津波に襲われたり、人が流されていくのを見たり、肉親を亡くされたりしている方も少なからずいらっしゃるので、PTSDの方の数も多いのが現状です。そしてPTSDはその症状だけでなく、さらに大きな問題が指摘されています。それは、認知症を引き起こすリスクです。ストレスによって起こる「海馬」の萎縮は、認知症のリスクにつながることから、PTSDの方は5年から10年後の認知症のリスクが2倍に上がるという報告もあります。