中高年の肥満は、将来の認知症のリスクを上げる

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。アメリカのシーダーズサイナイ・メディカルセンターの研究チームがマウス使って行った「オスとメスの肥満のリスク差」調査があります。その結果は、オスのマウスにのみ、糖尿病や心臓肥大、脳の損傷が見られました。この実験に加え、さらに卵巣を除去したメスのマウスとの比較も行ったところ、オスと同じ傾向が見られました。卵巣を除去したメスは人間でいうと閉経後の女性に相当することから、女性ホルモンの働きが関係していると考えられます。マウスと人間をイコールに扱うことはできませんが、女性ホルモンによって女性の灰白質の体積の減り方が男性に比べゆるやかであることは以前お話しした通りです。女性ホルモンによって、改めていかに女性が守られているかがわかります。このことを裏付けるように、2014年、アメリカ・ワシントンで発表された研究では、高齢になると男女差はなくなってくる報告がされています。これまで肥満と脳の萎縮に関する研究は中年層が中心だったのに対し、この研究は60歳から64歳を対象に8年間行われました。その結果、肥満の被験者では海馬がアルツハイマー型認知症と同じような割合で萎縮していたのです。また60代の被験者のうち、肥満の人は実験当初から海馬が小さかっただけでなく、その萎縮のスピードも速いことがわかりました。この発表は中年時の肥満が、将来、認知症を起こすリスクが高いことを証明するものとなりました。早い段階で食生活を整え、適度な運動を行い、肥満の改善をすることが認知症予防には重要ということなのです。