「前頭葉」は最後にできて、最初に壊れる

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。脳はいったいどのようにつくられるのでしょうか。人間の体は全体にバランスよく少しずつ発達しますが、脳はそれとは異なり、実に独特なスタイルでつくられていきます。脳は主に、後ろから前に向かって発達するのです。脳の発達には脳の血流量が大きく関係するのですが、子供の年齢と脳の血流量を解析した研究データからも、はっきりとこの事実が証明されています。最初に発達するのは頭の後ろの「後頭葉」です。主に「ものを見る」働きを持っています。「後頭葉」は生まれて数ヶ月から1,2年で発達し、年をとっても最後の最後まで保たれます。同じように早く発達するのが「音を聞く」などの働きのある「側頭葉」です。つまり原始の時代、人間も動物として敵を「視る」、敵の「音を聞く」ことができなければ生き抜いて来られなかったのです。そのため、生きるために必要な部分から脳は発達したと考えられます。さらに、「側頭葉」には「記憶や言語理解」に関わる領域も見られ、これらは「音を聞く」働きがある領域の後に発達していきます。これら動物として生きるために必要な「後頭葉」「側頭葉」が発達した後、最後にようやく完成するのが、人間として生きるために必要な「前頭葉」です。興味深いことに「前頭葉」の中でもまた、役割ごとにつくられる順番が異なります。「前頭葉」の中でも、どちらかというと低次な運動機能などを担う部分は早く発達し、判断したり考えたりコミュニケーションをしたりする、まさに人間らしさともいえる「前頭前野」は最も遅く、12歳前後の思春期を過ぎたころにようやく完成するのです。ところが脳というのはとても不条理で、やっと出来上がったと思ったら、すぐに加齢による萎縮が始まってしまいます。しかも最後にできた「前頭葉」の「前頭前野」から萎縮が始まってしまうのです。まるで、脳の萎縮のプロセスは、脳の完成映像を逆回転して見るかのようです。このことから、「前頭葉」が加齢に最も弱いということができます。人間としての高い能力から壊れていき、動物として生存するために必要な能力が最後の最後まで残るのが人間の脳なのです。